みなさんは「レンズ雲」や「吊るし雲」「笠雲」といったちょっと変わった名前の雲を聞いたことはありますか? これらの雲は、地形や山の影響によって生じた大気の波(=山岳波)、乱れによって発生したり変形してできた雲です。これらの雲を見ると、上空ではかなり強い風が吹いていることがわかり、その風向きから今後の天気の崩れなどを知ることもできます(観天望気)。
先日山梨・埼玉・長野にまたがる日本百名山「甲武信ヶ岳」に登ってきました。木賊山の近くに、尾根から富士山を眺める絶景スポットがあるのですが、その時の写真がこちらです。前日の雨も上がり、山頂付近で10m/s以上あった風も収まっていましたが、富士山を見るとその東側には見事な吊るし雲。富士山の左側に大きな吊るし雲があり、その左側には東側に流れる吊るし雲(きれいな翼雲)があります。
この日の天気予報は午前の早い時間は晴れ間もあるが南西の強風に注意、とありました。独立峰の富士山は風の影響をもろに受けるため、南西から吹いた風が山頂を越える頃には冷やされて下降流となり、下降しながら空気が温められて今度は空気が軽くなって上昇流になり…を繰り返す山岳波によって発生した吊るし雲のようです。吊るし雲は山の風下にできるので、富士山の北東側に確認できました。風の流れが見えるようですね。
