伊藤新道〜湯俣山荘から三俣山荘めざして

2025年8月、昨年計画したものの天候不順で行けなかった伊藤新道を歩いてきました。伊藤新道は北アルプス黒部の秘境に最短でアクセスできる沢沿いのバリエーションルート。「黒部の山賊」の著者・伊藤正一さんが開通させた湯俣川沿いのルートです。今回は高瀬ダムから入山、湯俣山荘で前泊し、翌日に湯俣川を遡るルートで三俣山荘へアプローチしました。

心配していた水量は少なく、ロープなしで渡渉でき、水深は深いところで腰あたり、沢パートは5時間で通過、その後の尾根パートは3時間、合計8時間で踏破できました。伊藤新道は「自然のまま」を大切にしており、よほどわかりにくいところ以外は標識や目印はありません。「ルートファインディングを楽しむ」のが伊藤新道だそうです。あっちでもないこっちでもないとざぶざぶ水に入るところあり、岩を登ったり横ばいで歩いたりするところありと、まさに大人のアスレチック。

湯俣温泉は硫黄成分たっぷりの源泉(100℃近くあって熱い)が噴き出しており、その炭酸カルシウムが固まってできた噴湯丘(ふんとうきゅう)は通称「玉ねぎ」。湯俣山荘から30分ほどのところにあります。ここから先、伊藤新道はいよいよ秘境に向かって進んでいきます。

吊り橋は全部で5個ありましたが、残っていた第1吊り橋も第3吊り橋も崩落。吊り橋は使えません。すべて渡渉になります。湯俣山荘の方(伊藤新道を管理されている)によれば、最短で19回の渡渉、私たちは23回の渡渉でした。多い方は30回を超えるとか。

伊藤新道の核心部のガンダム岩は、急流にそびえる巨岩ですが、しっかりした足場がついているので、安心して登れます。ここから先は、鷲羽岳の森に入る分岐点まで渡渉を繰り返して湯俣川を遡上します。

伊藤新道の沢登りの動画を作りました。ぜひご覧ください。

伊藤新道動画をご覧ください

伊藤新道に興味がある方は、office@budo-tozan.jpまでぜひご連絡ください。